グレードレース

競輪放浪記【第2回】(麻雀プロ 滝沢和典)(アオケイ紙面掲載コラム)

2022/10/13

昨年度のオールスター覇者、古性優作選手とお会いする機会があった。グランプリを優勝した直後で、現場に着くなり200枚以上並んでいるグランプリカードに片っ端からサインをし始めた。(私が持参したグランプリカードも列の最後にこっそり紛れ込ませておいた)

サインの大半を終え、ゴールが近づいてきた頃「もう終わりっすか?なんかランナーズハイみたいな気分になってきて…むしろ書き足りない気分です」と爽やかなジョークを飛ばしていた。

「賞金一億円の使い道はありますか?」何十回と聞かれそうな、ありきたりの質問をしたところ「まだまだなので自分の投資(練習)に当てたいと思います、税金の支払いもあるし。夢の無いことを言って申し訳ないですけど」と誠実な返事を頂戴した。

一応麻雀の“プロ”として生活している私にはその「夢の無い」言葉が心にぶっ刺さった。

勝って当然と評され、負ければ罵られる。競輪の文化を継承しながら勝たなければならないスターたちも、常にもがき続けているのである。

控室越しに、古性選手の奥さんが小さなお子さんをあやす声が聞こえてくる。姿は見えないが古性選手の人柄を知った今、すでにお子さんも我が子のように可愛く思えてくる。

車券に貢献できるよう頑張ります、そうコメントする選手は多いが、君のパパはファンの車券を的中させ、喜ばせる本物のスターだ。

最近カード類と現金を紛失したばかりの私が下手な車券を買えば、妻は「また無駄遣いして」と怒るかもしれないが簡単に言いなりになるわけにはいかない。古性選手のかわいいお子さんを育てなければならない。きっとこれは良い無駄遣いだ。いや当たれば無駄遣いにはならないし。オールスター2022はトリマクリ!かもしれないし。

 

滝沢 和典 プロフィール

競技麻雀のプロ雀士。

日本プロ麻雀連盟所属。

MリーグではKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。

愛称はタッキー。

キャッチフレーズは「越後の奇跡」、「麻雀バガボンド」

生年月日: 1979年12月6日 (年齢 42歳)

血液型:B型

出生地: 新潟県 長岡市

 

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編集部

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