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千葉の「TIPSTAR DOME CHIBA」で「PIST6 Championship」の「フォースクォーター・ラウンド44」が11日に初日が終了。レースの話から少し逸れるが、競輪界の「師弟関係」について語ってくれた名伯楽・吉本哲郎のインタビューを紹介する。
競輪界には「師弟関係」と呼ばれる文化がある。まず、競輪選手になるには養成所の入所試験に合格しなければならない。そこでアマチュア選手は、登録地(拠点にする都道府県)となる選手や縁のある選手に弟子入りを志願して、試験合格に向けて師匠に面倒を見てもらうことになる。(※絶対ではない)
師匠の世話は多岐にわたる。練習指導はもちろん、自転車や部品などの道具の提供や生活面でのサポートも。
養成所に合格し、選手としてデビューしてからも師弟関係は続く。レースの戦術面や自転車のセッティングのアドバイス、競輪界での振る舞いやルールなど、実に多くのことを師匠から弟子は学んでいくのだ。
選手みんながみんな、弟子を取るとは限らない。弟子を取るということは、自分の時間を割いて相手の面倒を見るということ。「相手の人生を預かる」という意味では責任重大なことであるし、確かな「覚悟」がないとできないことである。
今シリーズ参戦中の吉本哲郎は、多くの弟子を抱える名伯楽のひとり。また、PIST6の検車場においても、吉本の周りには多くの選手が集まってアドバイスを求めている。“みんなの師匠”吉本に話を聞いた。
「弟子を取る時は、こっちの『熱量』をまずは伝えている。家族との時間を削っているわけで、家族の協力があってこそ。弟子が自分を頼ってくれる以上は、できる限り力を貸してあげたいし、一生懸命、教えようと。だけど、選手になって練習しなくなるヤツも中にはいる。それは俺の家族に対して失礼だぞって話で…」と師匠としてのマインドを明かす。
また、強くなる選手の特徴を伺うと「1人で練習できるヤツ。言われた練習メニューだけじゃなくて、プラスαがある。例えば、『末脚を強化したいので、こういうメニューをやりたい』って自分なりの提案、主張があるヤツは強くなるね」と言う。
最後に、師匠にとって嬉しい瞬間を吉本はこう話す。「やっぱりね、弟子の活躍は嬉しい。自分も刺激になるし、モチベーションにもなる」とニッコリ。
師匠は限られた時間で己を鍛え、熱心に弟子への指導にあたる。そんな吉本をはじめとする、師匠たちの思いが報われてほしいと思うし、改めて、お弟子さんたちには師匠の覚悟と、成長や活躍が何よりの恩返しになるということをどうか忘れずに頑張っていってほしい。