競輪場特集

若き日の脇本選手 (共同通信社杯用)

2022/09/16

名古屋競輪場で開催される第38回共同通信社杯(GⅡ)。名古屋で開催されるのは実に10年ぶりだが、当時の私はまだ新米記者。入社して2年目の時期でした。当時の勤務シフトの詳細を思い出すことはできないのですが、前回の名古屋共同通信社杯開催最終日、私はお休みをいただいていまして、友人とプライベートで名古屋に日帰り観光をしに行った記憶があります。

 

早速名古屋に到着した私は熱田神宮の近くにある大変有名な鰻屋さんで長蛇の列に並び、ひつまぶしを頂きました。名古屋にはご存じの通り、名物グルメがたくさんあります。先ほど名前が出たひつまぶしを筆頭にきしめん、味噌煮込みうどん、味噌カツ、エビフライにあんかけスパ。すべて出張中や、観光でいただきましたが、特にひつまぶしに関してはとても美味しかった記憶があります。名古屋競輪場に旅打ちに来られる方は、良ければひつまぶしを味わってみてください。

 

 

さて鰻屋を後にした私はもう一つ目的がありました。それはもち論、名古屋競輪場で行われる共同通信社杯の決勝戦。当時の私は旅打ち経験は全く皆無でして、普段、職場として訪れる競輪場とは全く違った、ワクワクした気分で入場門を通りすぎた覚えがあります。場内はたくさんのお客さんがおり、競輪場独特の雰囲気に完全に圧倒されていたのですが、早速決勝戦の予想をすべく、大阪から持ち込んだ競輪研究を片手にあーじゃない、こーじゃないと決勝戦の予想にいそしんでいました。

 

同行した友人は当時競輪歴0年。ましてや競輪場に入るのも初めてだったので、新米ながら仕事で学んだ情報や経験を元にアドバイスしたのですが、付け焼刃の当時の私の技量では大したことも言えず、友人も独自の競輪予想を楽しんでいました。

 

当時の決勝戦は、中近ラインで当時はまだ売り出し中だった脇本雄太選手の後ろに稲垣裕之選手-大阪の南修二選手-三重の柴崎俊光選手。北日本ラインは佐藤友和選手-渡辺一成選手-成田和也選手。南関ラインは鈴木裕選手-望月永悟選手の3分戦。人気は稲垣選手から南選手、渡辺一成選手から成田和也選手に二分していましたが、やはり当時徹底先行を貫いていた脇本選手を擁する近畿コンビが少しリードしていた印象があります。

 

私自身もおそらく私自身の地元地区でもある近畿勢を中心に購入した記憶があります。友人も脇本選手が気になった様子で脇本選手から購入していたんじゃないでしょうか。

 

そうこうしていると決勝戦の締め切り時間が過ぎ、選手たちがファンファーレと共に次々と発走機に整列。号砲が鳴り、待ちに待ったレースが始まりました。私が応援していた中近勢は好枠を活かして目論見通り、前受けを選択。この形なら、当時脇本選手が良くやっていた青板バック(2周半前)過ぎからの突張り先行の形。(当時は失格になりませんでした)私はしめしめと取らぬ狸の皮算用をしていました。残り3周を過ぎて、隊列が動き出す。誘導員の後方で後ろの様子を伺いながら、タイミングを計る脇本選手。さあ今だ!と脇本選手が動き出した時に事件は起きました。大きな音ともに脇本選手一人が落車してしまったのです。激しく競り合っている場面でもない、スピードが上がっている段階でもないタイミングで起きた事象に私自身も唖然としてしまったのだが、何事もなかったようにレースは続いている。結局2周前から仕掛けた佐藤選手に乗っていた渡辺選手がきっちり抜け出して成田和也選手とのワンツー決着で幕を閉じたのでした。その後、結果を見ると脇本選手は誘導員と接触して過失走行での失格が発表されました。

 

私たちは帰路につくため、足早に競輪場を去ることに。帰りの車内では初めての旅打ちについて競輪談義に花が咲いた覚えがあります。

あれから10年の月日が流れ、あの脇本選手は今や輪界一の脚力を持った人気選手になりました。無論、今節も優勝候補の筆頭です。今回も様々なドラマ、激闘が繰り広げられる名古屋競輪場。是非とも生で観戦に来て名物グルメをご堪能下さい。