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西武園競輪場ではナイター競輪「東京中日スポーツ杯(FI)」が8日から開催。2日目8Rに出走予定の合志正臣に話を聞いた。 度重なる落車に苦しむ合志正臣が胸中を吐露。ほか、支えとなっている存在や強い選手像、憧れだった村上義弘氏についても言及。インタビューを前編・後編に渡ってお届けしたい。
――お疲れさまです。
合志:いやぁ、しんどいですよ。しんどいから落車しないように気をつけて走っているんだけど、そうすると「ここに突っ込みたい」ってところを我慢、ストップ。それがフラストレーションで…。今日はちょっと危なかった(苦笑)。
――制限せざるを得ない、もどかしい状況ですね。
合志:普通なら、レース前に「こういう展開になったら突っ込んでやるぞ!」と考えてモチベーションも上がるんだけどね。早く前の状態に戻すための我慢だけど、我慢していたら状態が戻るのかと言われるといつになるかも分からない、その葛藤がすごくある。
若ければ我慢して練習して、ケアをしていけば状態は上がってくる。でも、自分の年齢的に同じようにいくかと言ったら、クエスチョンなので。それだったら「悔いのないように走ったほうがいいんじゃないか?」とか、「でも、また落車したらもうそれ次こそダメになるんじゃないか?」って。今が最後の踏ん張りどころと思って我慢はしているんですけどね。
――体の状態はどうですか?
合志:良くなっているけど、練習がまだ身になっていなくて成果としてついてこない。もっと体が良くなれば練習した分、ちゃんと結果に反映されるようになると思う。だけど、練習をやってもやってもみたいな、ずっとそんな感じ。となってくると、番組も悪くなってくるので、悪循環。番組が悪くなったところを自分で打破しないといけないけど、打破ができないので。突っ込めない、すごく苦しいね…。
――折れそうな心を支えているもの、モチベーションは何でしょう?
合志:同世代の諸橋愛、佐藤慎太郎さんたちが特別競輪で戦っている姿や活躍を見て「まだやれるんじゃないか」と自分を奮い立たせている。
頑張らなきゃいけないなのは分かっているけど、昔みたいに追い込めなくなっている自分もいるし、45歳のベテランになると周りに叱ってくれる人もいなくなる。自分自身に厳しくないとダメ。甘いね、自分は。
色んなことにも惑わされ始めたりする。最近、主流のフレームやセッティングを試してみたり。自分に合わなくて、迷走し始めちゃって。今は自分の元のかたち、もうブレずにやろうと。それでダメだったら自分のせいなので。このフレームが合わない、このセッティングが合わないとなると、そのせいにしてしまう。逃げ道を消そうと思って。
――熊本勢の活躍も目立ちますし、バンクの再建も進んでいます。
合志:なんだか今回の熊本記念は面白くなかったなぁ。格好いいレースをしてほしいよね。
勝ち負けも大事だけど、魅せるレース、格好いいなぁ〜と思えるレースをね。
記憶に残らないんですよね、強くても。僕の中での強い競輪選手は“戦う選手”。速い選手じゃなくて“ファイター”。戦うには自力や追い込みとか色んな戦法、戦い方がある。「うわ、コイツ戦っているな」と思える選手がやっぱり強いよなぁって。
戦うって勇気がいること。自力選手が仕掛けるのもそうだし、挑んでいくには勇気が必要なので。その勇気を出せる選手が、自分の中では本当に強い選手だと思っている。
――これまでに合志さんが見てきた選手で“戦う選手”はどなたですか?
合志:それはもう抜群に村上義弘さんでしょう。全てが格好いいじゃないですか。だからファンも熱くなる。走りだけでなく、振る舞い方にしても検車場で歯を見せたり、ヘラヘラしたりしなかった。本当にすごい選手でしたね。義弘さんを目指してやってきた選手も多いはずだし、僕の中でも断トツのスーパースター。
どの戦法にしても熱かった。自力のときも追い込みになっても熱い走りで、背負っているモノが違いましたね。番手として前の選手も庇わなきゃいけないけど、後ろに付く3番手の選手のことも考えて走る。ライン全体のことをよく考えて、ラインを大事にしていた選手ですね。
(後編に続く)