特別インタビュー

第66回オールスター競輪GI 特別インタビュー・平原康多選手

2023/08/13

地元のヒーロー・平原康多選手の独占インタビュー!度重なる落車と怪我で、選手人生の中でも最大の壁に苦しんでいるといっても過言ではない今シーズン。インタビューでは、ここまでの振り返り、そして現状の状態について語った。また、関東地区の若手に伝えていきたいこと、オールスターへの意気込みを明かしてくれた。

 

――4度の落車もあり、満身創痍のシーズン。ここまでを振り返ってどうでしょう。

 

悪いことしかないですね。だけど、それも含めて自分の実力だと思っています。

 

――落車による怪我のダメージや崩れたものは何ですか。

 

高松宮記念杯(6月)の落車で股関節を痛めて、なかなか痛みが引かなくて。検査をしたら「グロインペイン症候群」(※)という診断を受けて。選手にとっては骨盤や股関節って要なので、そこが一番キツイですね。

 ※グロインペイン症候群:脚の付け根、鼠径部周辺に多様な原因で発症する痛みで、スポーツではサッカー選手に多く見られるという。

(図)2023年ここまでの平原康多選手の成績

 

――良いときの感覚と比較して、どんな点が違いますか。

 

走っていても左脚が踏み込めていないし、引き揚げられていない。右脚とのリズムが合わない部分がありました。

 

――治るまではどのぐらいの期間がかかるのでしょうか。

 

初めてなったし、ちょっと何とも言えないですね。本当は安静にしていないといけないと言われたし、その方が治りも早いんでしょうけど…。そうも言っていられないので。ちょっとずつ治療しながら、練習しながらレースを走りながら治していくしかないと思っています。ほかの怪我と一緒で。

 

――「レースを走っていないと気持ちが切れてしまう」といったコメントもありましたが、そのあたりは年齢的なことも含めて復帰を急いだのでしょうか。

 

どうですかね。年齢的にというか、それだけ大きな怪我が続いていると、やっぱりレースを良い状態を迎えているわけじゃないので。不安が凄く大きい感じの状態でレースを走るんですけど、そこと向き合って戦っていかないと。結局、今の現状を乗り越えていかないと先がないっていうのもあるし…。年齢という感じじゃなくて、それぐらい自分の中で大きな怪我が続いてしまったという部分ですかね。そのあたりのメンタルだと思う

 

――ここまで大きい怪我は、選手人生でも経験はないですか。

 

うーん、連チャンで続いていますからね。ワースト3には入る(苦笑)。

 

――毎回、違う箇所を怪我。各箇所、癒えてきてはいますか。

 

武雄記念(4月)の落車で右肩甲骨を骨折。実際、まだ骨はくっついていないと思うんですけど、違和感なく筋力とかは戻って来ていて、そっちに関しては全然、問題ない感じです。

 

股関節の症状の方が、今はそこのみな感じですね。けど、本当にピークで悪かったのが、直後に我慢して走った前橋記念。痛みの状況でいえば、その時が「10」だとしたら今は「3」くらいかな。

 

痛みはなくなってきているので、不安なく練習でも踏み込めるようになった。最初はジャンプすらできなかったし、着替えも一苦労でした。下半身を動かせないので、パンツやズボンを履くのも本当に大変なぐらい。脚が上がらなかったんですよね。そういう状況に比べたら、普通の状態には戻ってきています。

 

――練習の強度も少しずつ上げられているんでしょうか。

 

かなり上がっていますよ。そこまで不安なくバンクでもがいたりしているときに、もう思い切り意識の中ではセーブすることなく走れているぐらいになっていますね。

 

――平原選手を慕う選手が多くいますが「ずっと平原さんに助けてもらってきた。今度は自分が力になる番」と話していた選手もいました。

 

怪我との戦いはやっぱり選手である以上はある。そんな中でも仲間には迷惑をかけられないので、自分も最低限のレ-スはしようとは思っています。

 

 

――冒頭に口にした通り「悪いことしかない」という中でも、オールスターではドリームレース(初日)にファン投票5位で選出されました。(※ファン投票上位9人が出場)

 

今年は一個も自分で納得できるレースが思い当たらない。落車ばかりで、まともに開催を走りきれないで帰ったりする状況が続いて。そんな中でも、ファンのみなさんから「応援」という意味での票でもあるのかなと。そんな風に感じますね。

そういった期待を胸に受け止めて、しっかり頑張りたいという気持ちは凄くあります。

 

――関東地区で頼もしい若手が台頭し、平原選手はご自身の立場や役割をどのように捉えていますか。

 

どうですかね。まとめるとか、そういうキャラではないですけど。「強いものに1対1では勝てないから、みんなで力を合わせてっていうのがラインで、そのように戦えるのが本当に理想の競輪」だと思うので。そういうのを後輩に伝えられるときに伝えていますけど、自分自身の立ち位置っていうのは全然分からないですね。自分がどういう風に思われているのかも分からないし。

他のことに関しても聞かれたりすれば、もちろんアドバイスするというか。自分の考え方が正解かは分からないですけど、自分はこういう風には思うよっていうのは伝えていますね。

 

――関東地区のキーマンとなる選手はいますか。

 

誰とかっていう風に言っちゃうとおかしくなっちゃうし、言われる選手は勘違いするだろうし。そういう風に指名しちゃうのは良くないと思うので。

本当に力のある選手はいっぱいいると思うので、「自分が勝ちたい、勝ちたいじゃなくて、みんなで力を合わせてラインで戦えるように」。誰が中心とかよりも、みんなでまとまっていけるような「意思疎通」をしていければと思っています。今、それができていないから弱いと思うので。

 

――他地区ではどこが強いと感じていますか。

 

 どうですかね。北、南関、近畿だったり、中四国だったり、どこも強いですよね。

 

――最後に、地元オールスターに向けての意気込みをお願いします。

 

できるだけ最善を尽くして、体の状態も良い状態にもっていって、その時その時でできるパフォーマンスを全て出し切って優勝を目指したいと思います。