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千葉の「TIPSTAR DOME CHIBA」で13日から「PIST6 ChampionShip2022-23」EXTRA STAGEラウンド5が開催中。2日目の準決勝C(6R)に出走する北野武史に話を聞いた。
98年後期以降、一度も降級することなく20年以上S級をキープしている北野。年齢を感じさせない引き締まった肉体はもちろんだが、PIST6では若手に負けないパワフルな自力戦を披露している。
一次予選は逃げる三好恵一郎の後位から冷静に外へ持ち出し、難なく差し切って1着。続く二次予選では残り2周すぎに4番手からスパートすると、併せて踏んだ上野恭哉の上を力強く捲って2連勝で準決勝進出を決めた。
「準決勝に備えて脚を残そうと、ダメージを最小限にするために予選は4.64倍のギヤ比で。残り2周をきれば自分でも持つ距離だと思い、確定板入りを目指してオジさん頑張りました」としてやったりの顔。
本当に50歳なのだろうか。「体脂肪率? 測ったことない、ない」と首を振ると「何でもそうだけど、昭和の人間なので数値どうこうじゃない(笑)。いかに苦しい思いをしたか。競走って死ぬほど苦しい。だから、普段の練習から追い込んでレースと同じぐらい苦しい思いをしています」
長らくS級で居続けられる要因については「ハートですよ、ハート。“負けたくない、勝ちたい、強くありたい”という気持ちを忘れずに上昇志向を持つことですね」と話す。「競輪に怪我はつきもの。若い頃はよく怪我したけど、それでもこうやってこの歳になっても戦えている。丈夫な体に生んでくれた両親に感謝。さっきからさ、すごく良いことしか話していないけど、大丈夫?」とニヤリ。
北野といえば、練習着に大きくプリントされた『金沢の黒ヒョウ』の文字に目がいく。ニックネームらしいのだが、由来を聞くと「石川のホームバンクは内灘にある自転車競技場なんだけど、昔、後輩の坂上樹大が『内灘のトラ』を名乗っていたんですよ、自称ね。坂上は名乗りだしてから強くなっていき、みるみる成績が上がっていった。それを見て、“俺も何か異名がほしい!”と思っていたら、新聞記者さんが「北野君は『金沢の黒ヒョウ』だな」って言ってくれて。コンドル(専門紙)の記者だったような…。そこからはバンバン『黒ヒョウ』の名で自分を売っていった(笑)。あいつ(坂上)は自称だけど、俺は名付けてもらったからね」と話し、誇らしげに検車場を後にした。