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宮杯の思い出といえば…

2022/06/19

35年ほど前から競輪を見始め、思い出に残るビッグレースといえば滝澤正光が優勝し43期同期、三好章仁が続いて2着に入り、枠単55のゾロ目できまった宇都宮オールスター。

坂本勉が絶対に勝つと思われた一戦で伏兵の俵信之が番手から差し切った平塚ダービーなど現場に行って観戦したレースはもちろんだが、それよりもテレビ東京の中継にかじりついて観たある一戦が僕は1番記憶に残っている。

当時、競輪といえばイコール中野浩一。ミスター競輪、世界の中野など、競輪を知らない人間でも知っている名前。

その中野はグランドスラマーかといえば、そうじゃない。一つだけ獲っていないタイトルがある。それが高松宮杯(現・高松宮記念杯)、通称宮杯だ。

今から30年前の1992年、宮杯決勝には滝澤正光、中野浩一、そして井上茂徳と当時の3強が決勝進出。新進気鋭の神山雄一郎相手に滝澤と中野がどう立ち回るのか! 年齢的にもこれがラストチャンスの中野!

結論からいうと中野は勝てなかった。逃げた神山の番手に飛び付いた滝澤が直線抜け出し優勝。中野の渾身捲りは届かず2着だったが、このレースの車券を買っていない僕でもテレビ画面に向かって「中野届け!」と叫んだ。負けはしたが中野は中野だった。


そして翌日だかに中野は引退を表明して、これがラストランとなった。だが、テレビとはいえ中野の最後の勇姿を観られて良かったという記憶がいまも残っている。

最近競輪のファンになった方も数年後、数十年後に脇本の平ダービーが1番記憶に残っている、2022年の高松宮記念杯の○○の走りが今も心に響いているよ、といえる走りを選手達はしてくれると思います。記憶に残るであろう競走が6月19日、決勝戦で観られるかもしれません! 注目です。

(敬称略)