グレードレース

競輪放浪記【第12回】(麻雀プロ 滝沢和典)(アオケイ紙面掲載コラム)

2023/11/21

 昨年の第64回朝日新聞社杯競輪祭は、新田祐大選手のかましに乗った新山響平選手が坂井洋選手の飛びつきを凌ぎつつ発進し、見事優勝となった。新山選手はどこのインタビューでも謙虚に「ラインの力が大きな勝因」的なコメントをしていたのが印象深い。 

 麻雀は個人戦なので競輪的な意味合いでの「ライン」は存在しないけど、一時的にお互いが有利になるように打ったりとラインと似たような状態になることがある。競輪祭同様、朝日新聞社様がファイナルシーズンの冠スポンサーとなる「Mリーグ(麻雀)」の舞台はチーム対抗戦で、絆、感謝や恩返しといった、ラインのような人間模様が見ることができるので興味がある方は是非見て頂きたいと思います。

 先日、いわき平で初のA級完全優勝を決めた岡山121期の昼田達哉選手と食事をする機会があった。麻雀好きの彼とは養成所に入所する前からの付き合いだ。

 私の行きつけのバーで、最近の活躍を讃え、好きな事を仕事にする大変さなどを語り合い、今後の激励をするなどして、最後の一杯を注文してそろそろお開きムードになった。お会計をする際ここは先輩としてご馳走しようと、こっそりマスターにその旨を伝えてトイレに入った。


「あ!」


 ここで、現金もカードも持ってきていない事を思い出した。キャッシュレス化がどうのとか言い訳が頭をよぎり、一旦店を出てATMに走ることも考えたが昼田君にも時間の都合がある。
仕方なくトイレを出て、マスターに小声で「か、金が…」と苦笑いで伝えると、口パクで「こんど(来た時でいい)」と言って目配せをしてくれた。 

 かれこれ20年以上の付き合いになるマスターは今すぐにでも私をイジりたい様子だったが、その場はなんとかこらえてくれた。昼田君に私のダサい様子がバレずに済んだのもマスターとのラインのお陰です。知らないお店だったら昼田君の賞金袋のお世話になるところだったよ。

〈右:滝沢和典〉

滝沢 和典 プロフィール

競技麻雀のプロ雀士。

日本プロ麻雀連盟所属。

MリーグではKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。

愛称はタッキー。

キャッチフレーズは「越後の奇跡」、「麻雀バガボンド」

生年月日: 1979年12月6日 (年齢 43歳)

血液型:B型

出生地: 新潟県 長岡市

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編集部