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立川競輪「開設72周年記念・鳳凰賞典レース(GIII)」は7日に初日を迎える。11レースのS級予選を走る北井佑季に話を聞いた。
自転車未経験の男は、デビューから2年4ヶ月でG3初優勝を成し遂げた。浮かれる様子もなく、控えめな笑顔で記者からの祝福に応じたのは、プロサッカー選手から転身した北井佑季だ。
追加で参戦した前走の向日町記念で嬉しいG3初優勝。北井自身がこだわってきた「先行」で、輪界トップの追い込み選手であるS級S班・佐藤慎太郎を振り切り、優勝を掴みとってみせた。
先行にこだわる理由とは。
「前を取って突っ張るレースが多いよね。とか、そんなに先行して苦しくないの?って、よく周りからも言われるんですけど…。一番前って、一番ゴールに近い位置じゃないですか。1着を取れる可能性が一番高い位置だと思っている。引いて構えても捲れないリスクがあるし、何より力を出し切れずにレースを終えたくない。何のために日頃から苦しい思いをして練習に取り組んでいるかって考えたら…、勝つため」と言葉には熱がこもる。
「負けたら自分が弱いだけで、また練習すればいいので」。
そう語る北井の透徹した眼差しからは強い信念が伝わってくる。
向日町記念終了後、現役時代に北井と同じスタイルの「先行」で名を馳せた滝澤正光所長に優勝を報告したそうで「滝澤先生には、すごくお世話になったので良い報告ができて良かった。「(G3は)そのうち獲るとは思っていたけど」と喜んでくれましたね。「“勝たなきゃいけない”なんて構えるのは百年早いぞ」って(笑)」と金言を授かったことを明かした。
このあとは共同通信社杯(G2)、小田原記念が控えており、富山記念から数えるとグレードレース6連戦。ますます活躍が期待されるが、「今年からG1を走り始めて、まだ決勝には乗れていない。そこを目指して頑張っていきたい」とレベルアップを誓った。
Jリーガーから転身した北井のサクセスストーリーは始まったばかりだ。