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宇都宮競輪のミッドナイト「チャリロト杯(FII)」は23日、最終目を迎える。眞杉匠の西武園オールスター制覇に関して、2日目のテレビ中継のスタジオゲストとして来場した神山雄一郎に話を聞いた。
「久しぶりに栃木から優勝者が出て良かった。レースを見たけど、初手のあの並びの形になったら、アクシデントがない限り眞杉が獲れると思っていましたよ」と第一声。
ただ、ここからはレジェンド神山のありがたい諫言が始まった。
「まだ早いけどね。いつかは獲れると思っていたけど、早いね。吉田(拓矢)が前で頑張ってくれたし今回はおまけでしょ。これからもっと練習してもらって、これから獲り続けていってくれれば。ここからが本当の勝負ですから。その為にもここからの練習じゃないですか。今までも眞杉なりに練習していると思うけど、俺に言わせたらあれくらいの練習で特別競輪が獲れるのかと。3個、4個、5個と獲っていく為にももっと練習しないとね。まだまだだよ」と眞杉への期待が大きい故に、大先輩からのやや辛口なアドバイス。
その神山が初のG1を制したのは1993年の宇都宮オールスター競輪。
「眞杉は今、24才!? 俺よりも早いね。俺は25才だったから。ただ俺の場合は吉岡稔真や高木隆弘君に先を越されたし、下積みがあったから25才っていう年齢よりも早く獲った感じはなかったな。だから眞杉はあと2年ぐらい先だと思っていたよ」。
とはいえ、この言葉も親心からの発言。「なんでかっていうと早く獲ることのデメリットもあるから。早く獲ることで、勝ったが為に勝ち続ける為の調整をしていく必要がある。せっかくの成長する期間を勝ちにこだわり過ぎて伸びなくなってしまうからね。もっとここでは苦しんで、苦しんで、その先に繋げて欲しい。眞杉らしく勝ちにこだわり過ぎないで行って欲しいね。新田(祐大)もそうだったでしょ。苦しんで苦しんで、今のスタイルを築いて、その後にブワーっとタイトルを獲っていったでしょ」と新田祐大を引き合いに出す。
その新田といえば、先の東京五輪にも出場。もちろん神山もアトランタ五輪、シドニー五輪にも出場経験がある。
「俺も2回、オリンピックに出たけど、一回目は28才の時にオリンピックに参加。その時の経験から言っても競輪以外の目標もあって相乗効果で脚力が上がったのは良かったね。脇本(雄太)と一緒で五輪に向けて強くなりましたよ」と自身の経験も交えてくれた。
熱弁を振るってくれた神山だが、「実は眞杉には、今言ったような話を以前からしていて、西武園の前の富山記念で一緒になった時にも『まだ慌てるな』と言ったばかりだったんだけどね。そしたら、獲っちゃった。前倒しで獲っちゃったんだから“持っている人間”だよね」と苦笑い。
「ただ、さっきも言った通りに今回はおまけだと思って、もっと上を目指してチャレンジして欲しい。(吉田拓矢が目標にいたので)今度こそは自分の力で何個ももぎ取る気持ちでやってもらいたい」と時には辛口に、時には冗談も交えながら、後輩の眞杉に対して熱っぽくエールを贈ってくれた。
最後に神山自身については「俺も若い子たちから色々教わっているし、まだまだですよ」と勝負師の目がキラリ。