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「自分のペースで駆けようと思っていました」
本デビュー後、いまだ決勝進出がない永田吏玖。
以前、当地でルーキーシリーズを走った際は消極的な走りが続き、果敢に主導権を狙う同期と比べて気持ちの面で引けをとっていた。
前検日も「レースには慣れてはきたが、まだ巧く走れていない」と表情に硬さは拭えない。
そんな中始まった初日予選だが、129期の新人に対して別線の自力型が連鎖するように気を吐くレースが続き、同期達はなかなか思う様にレースをさせて貰えない。
迎えた6レース。永田の相手はA級上位で戦っていた近藤圭佑。怪我の影響でチャレンジに降班したとはいえ、今期はここまで決勝進出を外しておらず、その力は健在。事実、このレースで人気に支持されていたのは近藤の方で、新人が力上位の先輩を前にして後塵を拝するといった見方が大方の見解であった。
だが、そんなムードを吹き飛ばすかのように、永田は勢いよくスタートを飛び出して自ら前を取り、青板のバックで押さえに来た近藤を突っ張るとそのままどんどんペースを上げて行く。
「以前、33で緩めた所をカマされて失敗したので、オーバーペース気味でも自分のペースで駆けようと思っていました」
番手の山中貴雄が「持つのか?」と心配になるほどのペースは、相手が巻き返す機会を着実に潰していった。
「永田君が本当に良いペースで駆けてくれていたので、近藤君もカマシに来れませんでしたね」と振り返った田崎良太郎は初日の番組を見て悩んだ末に永田ラインの4番手を選択。自身の選択に突っ張り先行で応えた若者の気持ちに身体が呼応したのか、捲りに来た近藤に強烈なブロックをお見舞い。
「ずっと近藤君が自分の横にいたので、それならと思って当たりに行ったんですよ」と自慢の青髪をなびかせてニヤリと笑う。
ラインのサポートを受けた永田はそのまま直線に入っても勢い衰えることなく、堂々と押し切って1着。4番手を固めた田崎まで連れ込み、ラインを上位独占に導いた。
レース後、「結果的にカマシにも来られず、捲りも封じられたので、状態、バンクを踏んだ感触共に良いですね」と冷静に自身の走りを評していた永田だが、「最後も差されたかなと思ったけど、押しきれたのは自信になります」と自分のレースをした上での1着を実感し、ようやく表情が綻んだ。
ただ、準決勝に話題が移ると、すぐに表情を引き締め「33の奈良で同期に駆けられると厳しいので、準決も主導権を握りたい」と決意を語った永田。
実直な人柄と強地脚は徹底先行の下地として申し分ない。
同期を打ち負かし、自信を深めて初の決勝に臨もう。