グレードレース

競輪放浪記【第13回】(麻雀プロ 滝沢和典)(【先行公開】アオケイ紙面掲載コラム)

2023/12/28

 競輪についてああでもない、こうでもないと飲みながら喋るのは私にとって至福の時間だ。
 過去のレースや選手の特徴、対戦成績、連携成績など時間と労力とを惜しまずに競輪に勤しんでいるような人とならなおさら楽しい。

 2009年12月29日「KEIRINグランプリ09」の前日の居酒屋でも仲間と競輪談議に花が咲いていた。
 武田豊樹選手と海老根恵太選手の軸でいこうと話がまとまり「ラスト一杯」その中の数人とは、また明日現地京王閣競輪場でと一旦解散になったのだが、何だか飲み足りない私は一人別の店に立ち寄ることにした。
 そこでも明日のグランプリの話しをしていたので、私は意気揚々と明日は武田、海老根でいこうと思ってますと仲間と組み立てた展開予想を話した。
 すると、その場面の競輪博士的な方が新たな展開予想を披露し、我々の車券の不安要素も話してくれた。
 知識が豊富な人のプレゼンテーションには説得力がある。すっかり感銘を受けた私は、ついさっきまで仲間たちと到達した武田=海老根の話しは忘れ「泣きの一杯」を頼んで博士の予想を反芻しながら帰路についた。
 シャワーとコーヒーで重い頭を無理やり目覚めさせて、現地へ。山崎選手-伏見選手につけた単騎の海老根選手が大外を伸びて見事優勝、武田選手は主導権をとった平原選手から抜け出すも2着となった。我々の完全勝利である。
 昨日の一軒目で同席した仲間たちから「何十万勝ったぞ」とか「お前100万くらいになっただろう?」と喜びを伝える電話が鳴った。あの時みんなと帰っていればそれくらいにはなっていただろうが、私には後悔と数字が書いてある紙、そして小銭しか残っていなかった。

 今年もやってきましたKEIRINグランプリ2023。一瞬盛り上がっていた今年の回収率も例年通りの落ち着きを取り戻し、穏やかな年越しを迎えることにするか、男の大勝負に出るかはまだ決めていませんが、12月29日の酒はラスト一杯までにしようと思います。

それでは皆さん良いお年を!

〈右:滝沢和典〉

滝沢 和典 プロフィール

競技麻雀のプロ雀士。

日本プロ麻雀連盟所属。

MリーグではKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。

愛称はタッキー。

キャッチフレーズは「越後の奇跡」、「麻雀バガボンド」

生年月日: 1979年12月6日 (年齢 43歳)

血液型:B型

出生地: 新潟県 長岡市

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編集部