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【小松島競輪F1】小倉竜ニ「手が腫れてグローブが入らんけん素手で行く」

2023/12/26

小松島競輪 2日目 12R ③小倉竜二

 

初日12R特選でアクシデントが起こった。逃げる小松崎大地の番手を回った内藤秀久が大きくブロックすると捲りに行った島川将貴の後輪に接触。島川の後輪が大きく破損し、煽りを受けた小倉竜二が落車。右手第一指裂傷で医務室に運ばれた。出血がひどくJKA管理の人に付き添われて病院での診察と治療を受ける事となった。

 

僕ら記者は欠場もあると覚悟していた。しかし小倉の出した答えは「指だけやし、走れる。ちょっと病院に行ってくるけん、先にコメントしとこうか?」と。その後、記者の写真撮影にも応じていた。

2日目も最終12レースを走り、各社多めのコメントを掲載するのが常。しかし、あの状況なら身体を優先し、コメントをする必要もなかったであろう。僕ら記者もその時は「病院にて治療中のためコメント取れず」でもよかった。それなのに僕らメディアを通じてファンにメッセージを届ける。

 

昔から小倉は落車しても、走れる状態であれば走り切る。僕らからすれば、身体を優先してもいい状況だと感じても。小倉ならお金の為ではないだろう。競走得点の為でもないだろう。考えられるのはファンの為。見に来てくれる、買ってくれている人の為くらいしか理由が見当たらない。

 

2日目の朝、競輪場に入ってすぐ増田鉄男に会った。僕が「オグさん大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫やで。いつもの事。あいつは不死身(笑)。それとスケールがでかいね。昨日もコメント先に出したんやろ? みんなの仕事がはよ終わるように考えとんよ。自分の事だけちゃうもんね。常に全体の事を考えて行動しとる。」

 

昔、NBAシカゴブルズのエース、マイケルジョーダンはウィルス性の感冒にかかり高熱が出ているのにもかかわらず試合に出場。38得点を叩き出しチームの勝利に貢献。試合後には自分で歩けずチームメイトのスコッティ・ピッペンに肩を借りて退場したことがある。これもその試合を見に来てくれているファンの為。その日しか見に来ることができないファンのため。これがファンを引き付けるカリスマ性。

 

この勇姿を間近で見て、若い選手に育って欲しい。とうてい真似ができる事ではないが、その気持ちを持って欲しいと思った。