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【青森F1】シビアに競ってきた加倉正義が語る「イメージを植え付ける大切さ」

2023/10/21

青森競輪「JomonGP・エンジョイC(FI)」は21日に最終日を迎える。S級一般戦(5R)を走る加倉正義に話を聞いた。

 

 現在52歳、昭和を感じさせるガッツマーカーの加倉。競輪祭(98年)を優勝し、A級陥落(18年)を経験するも、今はS2班に在籍して活躍を見せている。

 

時代とともに変わりゆく競輪。昔と今の違いについて感じることを聞いてみた。

 

「競輪選手って2000人ちかくいるけど、選手の数だけ色あって良いと思うんですよ。大きく分ければ先行、自在、マーク、追い込みがいて。その中でも、競れるマーク屋がいればタテ脚があるマーク屋もいる。自力選手で言えば、ワッキーみたいになりたくても、背格好も違えば脚質だって違う。その人の色を出して戦えば良いんです。

 

マーク選手に関して言うと最近はさ、競りのレースがなくなってきた。先行一車なのに「同期なので、ちょっと…」とか言ったりして競りにいかないでしょう(苦笑)。検車場の雰囲気だって変わった。競りともなれば、目も合わせないぐらいピリピリとしていたもんだよ。

 

僕なんかは同期とも競ったし、仲良しでも競った(笑)。昔、一宮記念(2002年)の準決勝で一丸兄弟(安貴-政貴)が連係して、僕が競りに行ったことがあって。ジカでコメントを出したら、同期の山口富生が僕の元へ「どういうことか分かっているのか」って言いに来て。二人にとっては地元戦、しかも兄弟連係だったからね。それでも勝ちに一番近いのはハコ勝負だと思ってシビアに行ったよ。(結果は加倉が競り勝ち差して1着)

 

そういうスタイルを続けていくと、番組も「コイツは危ないぞ」と地元分断やレースをかき乱すようなヤツだと思って、それなりに目標を付けてくれるようになるんですよね。だから、イメージを植え付けるのは大切。突っ張るレースにしろ、競りに行くにしろ、1回や2回やっただけじゃダメ。続けることが大事。何でもそうでしょう、競輪でも仕事でも。

 

村上義弘が「先行日本一」と言われるようになったのだってそういうこと。自分の走りを貫いたことで、周りに「村上=徹底先行」を印象付けた結果、誰も先行勝負に行かなくなった。

今の北井君だってそんな感じ。突っ張って誰も出させないレースを続けていくうちに、誰も先行勝負に出なくなる。そうなったらこっちのもの、自分のペースで駆けられるからね」

 

 と昔の競輪をリアルタイムで見ていない記者だが、加倉の話を聞いていると胸が熱くなった。恐れ多いが「先生と呼ばせてください」とお願いすると、加倉は笑って承諾。“加倉先生”による初回授業はここまで。今回、書き切れなかった「自力と番手の関係性について」や「マーク選手から見た自力選手の走り方の変化」など、またの機会にぜひとも執筆したい。